*二度と会えない大好きだった少年の話*

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*私が大好きな物*




*どこまでも続いているような綺麗な空。
*そんな空が広がるよく晴れた日に思いっきりするサッカー
*でも1番好きなのは
*楽しそうにサッカーをする彼の事・・・。








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大好きな彼に会ったのはずいぶん昔の事だった。幼いころ…ここに引っ越してきたばかりのころだ。家の近くの公園に母に連れられ遊びに行った時に彼と出会った。彼は無我夢中でボールを追いかけていた。綺麗な紅い髪を靡かせて踊るように跳ねまわる彼…
あまりに楽しそうにしていたからついつい声をかけたんだ。






"なにしてるの?"





声をかけると彼は吃驚したような顔で此方を振り返った。振り返る際のふわっと広がる髪と私を見て大きく開かれた碧の瞳の色がとて綺麗で思わずほわっとした温かい何かが私の中に広がった気がした。
今思えば私はあの頃から彼に惚れていたのではないかと思う。






ボールを蹴るのに夢中になっていた彼は私が近づいて来ていたのに気付かなかったらしくいきなり声をかけられて一瞬驚いた様だったが私の目を真っ直ぐ見て口を開いた。





"サッカーだよ!僕、吉良ヒロトっていうんだ。もしよければ一緒にサッカーしない?"





碧の瞳をキラキラさせてサッカーが好きで好きでたまらないというような顔をして彼は言った。
こんな綺麗な彼があれほどまで楽しそうにボールを蹴るんだやってみたくないわけがない。
私も彼のように上手くできるだろうか。もし上手くいかなくてもとりあえず一緒にサッカーをしてみたい。





"やりたい!サッカーやってみたい。私は花梨。木南花梨っていうの。一緒にサッカーしよう!"







今までこんなに楽しいものがあるなんて知らなかったと思うぐらいヒロトとするサッカーは楽しかった。
それこそ青い空がオレンジ色に染まってきて母親にそろそろ帰ると告げられた時に帰りたくない、まだヒロトとサッカーしていたいと不貞腐れるぐらいには。






"じゃあ、また明日もサッカーしようよ!"





だから彼のその言葉がとてもうれしかったのを覚えてる。
明日もまた遊べる。またサッカーができる。またヒロトに会える。
その日は彼と次の日も遊ぶ約束をして帰路についた。家に着いてからも彼とサッカーの事で胸がいっぱいだった。









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次の日もまた次の日も彼とサッカーをした。彼の家もその公園から近かったらしく本当に毎日遊んだ。
彼とサッカーをして過ごした日々はとてもキラキラしていて素敵な物だった。
こんな日がずーっと続けばいいと思っていたし、続くだろうと考えていた。









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*彼とサッカー出来なくなるまであと何年?










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